一日の始まりは早い、朝5時前に起床し、メールやサイトのチェック、9時から始まる仕事の準備、事務仕事など、一日の雑用的ではあるけど大事な時間となっている。そんな時間に普段はテレビなどは見ないのだが、今朝、何気なしにテレビの電源を入れたらNHKの「世界美術館紀行」が始まったところだった。(たぶん再放送)
ロンドン・ナショナルギャラリーの紹介で–募金箱が救った名画–「入場無料で市民はいつでも見ることが出来る」と言うナレーションに引き込まれそのまま見続ける事になった。運営は寄付によって賄われているとのことで、入り口にはナショナルギャラリーを模した寄付金箱が用意され、それぞれがおもいおもいの額を入れるようになっている。
ロンドン・ナショナルギャラリーの収蔵品は規模は大きくないが秀逸な作品の多さを誇っているとのことで、その多くは貴族階級の人々の寄贈や寄託で成り立っているそうだ。ところが大英帝国の衰退と共に資金繰りに困った持ち主が絵画を売却するようになり、貴重な作品が流出するようになった。その中でもゲインズバラのブルーボーイがアメリカの金持ちに売却された時は英国に衝撃を与え、涙を流して最後の別れを告げたと言う。
そんな事があって20世紀になり、流出する名画を募金で救おうとする「ナショナルアートコレクションファンド」(会員は8万人)が設立され、ナショナルギャラリーの絵画がオークションにかけられたり、売却の話があると寄付を募り購入しているとのこと。
ホルバイン作クリスティーナが10億円で売却されそうになった時はあまりの額の大きさに寄付も5億円にしかならず、売却期限の日に匿名の婦人からの多額の寄付5億円があり、なんとか流出を阻止出来たそうだ。
2002年にはラファエロの「聖母子」が55億円で売却されようとし、「ナショナルアートコレクションファンド」が同額で購入しようと募金活動を行ったが、なかなか目的の額にはならず、2003年にはインターネットを通じて世界中に募金活動を行った。メディアでも大々的に取り上げられ、ついには議会でも取り上げられ、政府からの拠出金もあり2004年には獲得に成功したと言う。
最後まで番組を見てしまったのだが、市民の絵画に対する熱い情熱が羨ましくも思いました。日本では無いことかな?そのような取り組みがあってもいい、とも思いました。しかしよく考えてみると、その絵画を購入した時代は、大英帝国が最も栄えていた時代で、貴族が金に飽かして購入したものだったのでは?と言う思いがふとよぎってしまいました、、、